少女漫画界から贈る、骨太のSFオペラです
- 作者: 竹宮惠子
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2007/04/06
- メディア: コミック
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竹宮惠子(旧名:武宮恵子)先生の作品は、どれも先進的で、勧善懲悪でなく、
ただのヒロイックでもない、コアに人間的なテーマを持って作品を描かれていらっしゃると私は思います。少女漫画のカテゴリーにおさまりきれない、私にとって尊敬する先生の一人です。
代表作は「風と木の詩」
2人の少年愛がテーマの、重厚なストーリー作品です。
更にお勧めしたいのは「ファラオの墓」
同じ少女漫画で古代エジプトを題材にした「王家の紋章」とは異なり、どろどろの人間模様を描いております。これもオススメです^^;
上記の作品は今度レビューしたいと思っております。
さて、今作品ですが、最近TVアニメ化のようで、名作なのは知っておりましたが今まで読んでおらず、この機会に私も手にとって読んでみました。
で、読んでみましたが・・・・
作品の背景が、スケールおっきいです。めちゃでかいです。
例えて言うなら、手塚治虫の「火の鳥 望郷編」のように・・・
メカニカルな部分も少女漫画家でありながら一切手を抜いておりません。
機械的なイメージは、スターウォーズ+松本零士のように・・・
例えの例ばかり並べてすみませんが、この作品は、作品の骨格と背景、つまり世界観に竹宮先生独自のアイデアを持っていることを大きく評価してよいと思います。
人類VS新人類(ミュウ)の構図。ここまではよくある話ですが、ミュウを排除する社会の成り立ちまでの細かい世界観を確立しているところに特筆があります。
SFの大家、筒井康隆先生も「SFで全く新しいアイデアは10に1つもあれば素晴らしい」と藤子・F・不二雄先生のSF集巻末に語られておりました。
もうひとつ、筒井康隆先生は仰られました。「小説よりも漫画の世界は読者が何十倍もいてうらやましい」と!
また、難しいテーマや世界を演出しているのにもかかわらず、読みやすいです。
ストーリーがつまるところ人間模様に注力しているからだと思います。
分厚い単行本3巻で、1日で読みきれるのも良いです。
画も少女漫画っぽくないので、大人、少年など男性にも抵抗なく読めると思います。
SF名作です。
何度もアニメ化するにふさわしい、時代を感じさせない普遍性を持った作品です。
是非、お勧めです。