「いいひと」すぎるね、主人公・・・・

主人公は北海道出身。北海道を離れ、東京の
スポーツシューズのメーカーに勤めます。
恋人は北海道にいます。


様々な困難にぶつかる主人公は「いいひと」だからこそ、サラリーマンとしてありえない、行動に出ます。
「いいひと」だからこそありえる・としか思えない、良い結果を周囲に出していきます。


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ここから先のお話は、この作品のレビューではなく、作品題名の「いいひと」という言葉のイメージから、昔からず〜〜〜〜〜〜〜〜っと問題で、今も大きく事件化している「いじめ」問題へと波及させます。決してこの作品の批判ではありません。



画は可愛いらしい画です。
内容については、人間関係の、恋人、会社の同僚、上下関係、取引先、等々、ひとつのユートピアとしてお読み下さい。
この作品は、今読み返すと、自殺で揺れ動く中学・小学生にとって、突き放して冷静に、「こんなの夢物語だ」と思うことでしょう。


実際、ふた昔前の女学生が思い描く恋のラブストーリーよりもありえない妄想漫画ですから!!!!!!!


私は妄想漫画を決して悪くはいいません。こういうカテゴリーの漫画もアリでしょう。そもそも妄想を捨てたら、どのジャンルの作家も物語が書くことができなくなります。
しかし漫画は怖いことに、大手メディアとして万人に影響を与えるものです。


自分は、周りのみんなを「いいひと」だと思おうとする。いい人間関係にならないのは自分が悪いんだ。わかってくれる・自分を理解してくれる人もいない。親もあてにならない。親は頼りにならないというのもあるし、仲間内でのいじめに親を出すのは情けなく自分が思う。先生なんか口先だけで相手にならないし、強い者の見方だし、忙しいし、全然ダメ。かえって私をバカにするようなことを言う。





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味方は誰もしない。辛い。だから一人でひっそりと自殺するんだ。
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多分、様々ある中の、上記のようなひとつの原因で、今現在、多くの小中学生は自殺しているんじゃないのですか?
この作品「いいひと」は、読んだ読者の自己を投影し、より一層周りから・周囲にとって「いいひと」にならなければ、という魔力があります。


そこが恐ろしい作品です。


可愛い画、愛らしい恋人、なんの不自由もない、エリートで仕事と生活を送る主人公。
この漫画を読んで、「いいひと」になろうと思った読者は、結果、「いいひと」になって主人公のような、「いい思い」ができたでしょうか?否!あるわけありません。数学的な確率論から言ってもありえません。あくまで「物語」として、「妄想」として、私がこんなんだったらいいな〜〜、と思いながら読んで下さい。


本当にこの作品をけなしているのではないですよ!読み物としては面白い作品ですよ!


上記のことまで深く掘り下げられたのは、この作品が優秀だからこそありえるし、描かれた時代背景が異なるというのもあると思います。


私が言いたかったのは、今日現在、毎日のように中学生がいじめが原因で首吊り自殺をしている報道を見て、ひとごとに思えないからです。私も小学校のときいじめられたことが何度かあります。恥ずかしくて親には言えませんでした。学校にはとにかく行きたくありませんでした。


「いいひと」に自分がなっちゃダメだよ!世の中は「いいひと」より、圧倒的に「わるいひと」のほうが多いんだよ!たくましく自分が生きるしかないんだよ!そのための手段として、親や教師や友人など、信頼できる人をどんどん利用してください。社会に出てもいじめはあるからね・・・・・


いじめで自殺しようと思っている人へ、できる限りの僕からのメッセージです。