古代エジプトと現代を舞台にした、はらはらどきどきの大河歴史ロマン作品

王家の紋章
細川智栄子あんど芙〜みん先生の作品です。


アメリカ人で富豪の財閥の娘、キャロルはエジプトに留学中で熱心に考古学を学んでいます。


古代エジプトの神殿の女祭祀、アイシスの呪いが原因で、主人公は古代エジプトと現代を交互にタイムスリップすることになります。


キャロルの現代の人間の知識(例えば泥水をろ過するために石と砂を使ったろ過器を作ること。)古代エジプトを専攻していた主人公は、古代エジプトの時代造詣に詳しく、未来を見通せることが出来ます。


金髪碧眼に白い肌は当時の古代エジプトにはいない容姿で、ついには「ナイルの娘」「黄金の姫」と謳われあがめられるようになります。


アイシスの婚約者であり弟でもある古代エジプトの若き王メンフィスに見初められ、最初はいやがる主人公でしたが、ついにはお互い愛し合うようになります。


キャロルの実兄も颯爽とかっこよく、いなくなったキャロルを心底心配します。
大金持ちなので地中海を根こそぎ探させるなどします。


そして、キャロルの運命は・・・・?
古代エジプト以外の列強王国(代表例でヒッタイト)たちも、キャロルの明晰な能力を知り、奪おうと、妃にしようとます。
古代エジプトの后になって生涯を終えるのか?
現代に戻って、過ごすのか?


綺麗な画と、華麗に丁寧に描かれている古代エジプトの背景・装束、そして一人の女の子の恋物語がはらはらする作品です。


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ここからは私のごく個人的な回想です。
1970〜80年代、エジプトのカイロにいた頃、私の隣の家に日本人の家族で同年齢の女の子がいて、このコミックを貸してくれたことを今もありありと覚えています。「王家の紋章」はエジプトでも大人気でした^^;
女の子なので少女漫画ばっかりでしたが、日本の情報に飢えていた私は、日本から来る漫画が1番の楽しみで、夢中で読んだことが懐かしい作品です。


その当時のエジプトは他に「銀河鉄道999」が女の子の間で非常に人気がありました。私は当時、乏しいお小遣いの中でコロコロコミックをねだり、をこんな道具があったらいいな〜、と夢に出るまで、「ドラえもん」を何回も擦り切れるまで読みました。


また、古代エジプト発掘・研究で活躍されていらっしゃる、早稲田大学吉村作治先生のお話は、その当時から面白く、みんなで笑いころげたことがありました。日本の調査団の発掘現場で、BC4000年の土器のかけらをひろって持ち帰ったこともありました。ピラミッドは一番有名なギザ地区の三大ピラミッド(クフ王カフラー王、メンカフラー王)のみならず、階段ピラミッド等、多くのピラミッドを見て回りました。もちろん、ツタンカーメン王発掘の場として有名な王家の谷、アスワン・ハイダム、ダムを作ることで移設した多くの古代エジプトの建造物等見学しました。
また、コプト教会。当時私が住んでいた隣の、ものすごい音量で1日5回のアザーンイスラム教のお祈りの合図です)が流れるモスクを思い出します。


「ナイルの水を飲んだものはまたナイルに帰る」という言葉があるのですが、再びエジプトに来ることを願い、帰国前夜水道の生水を飲みました。(現地の人ですら蒸留水を飲みます。生水は寄生虫があるので飲みません。)


その願いが通じたのか、2003年に再びエジプトを訪れる機会がありました。
母校・カイロ日本人学校がギザ地区に移転し、立派になったのには驚きました。
昔はロバの糞くさく、のーーんびりしていた首都・カイロも市街化が進み、砂漠だったギザ地区が新興住宅地になっていたことには驚きました。
エジプトの日本人駐在員憩いの場として1970年代からある、アフリカでも老舗の「岡本」は、今でも健在でした。(2代目は私の1学年上の方が継いで、厨房を切り盛りされてらっしゃいました。)


登山家の、コーヒー、ネスカフェゴールドブレンドのCMでも有名な、野口健氏の母校でもあります。(2003年に訪問したら、氏の寄贈品がありました。)
野口健氏のお兄さんは大手商社に勤め、石油を商材とした、中近東をまたにかけてのビジネスされていらっしゃるそうです。